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伊藤さんと畑
伊藤さんが作物を育てている畑は、同校の敷地近くにある。農業以外にも美術や国語の授業が楽しいという伊藤さん。「なにより先生たちが楽しそうに授業をするのがいい!」(撮影/藤川満)

話を聞いた3人は、それぞれに充実した学生生活を送っていることが分かる。

とはいえ遊びたい盛りの多感な世代。神山の自然に満足しているものの、カラオケやゲームセンターなど仲間と遊べる場所は少なく、都会的な刺激を直接受ける機会も少ないのも事実だろう。

さらに試験で60点以下の赤点となれば、進級は叶わない。難関を突破した力はあったとしても、今の環境に馴染めず、この先全員が苦労せず進級できるとは限らない。

マイナス面や不安を上げれば切りがないが、少なくとも大半の学生が生き生きと過ごしているのは印象的だった。

起業家が創った学校だからこそ

「学校というものは基本的に安定を求めるものかもしれませんが、私達が大切にしているのは変化し続けること。今後時代が変わるたびに私達もスピード感をもって変化していくことが勝負かと思います」と未来を見据える事務局長の松坂さん。

それは既存の学校のあり方や制度に抗い続けることでもあるという。

今、学生たちは何もかもが暗中模索だった入学時から、徐々に視界がひらけ、それぞれの道を歩みだしている。

そんな彼らの将来に起業家たちも期待を寄せる。「Wednesday Night」にゲストスピーカーとして登壇した(株)マクアケ共同創業者/取締役の坊垣佳奈氏は語る。

「第一線で活躍している起業家たちが創った学校だから、同じようにできる人が生まれるはず。ここの学生たちは感じる力と考える力がある。それをもっと強くして、さらに自分の感覚を大切にして、やりたいことに情熱を注いでほしい」。

社会にどんな変革をもたらす人材が羽ばたくのか、1期生が卒業する4年後、そしてその後も注視していきたい。

坊垣氏らと学生
「Wednesday Night」の後半、坊垣氏らと学生が焚き火を囲んで語らう。坊垣氏は開校前から神山に足を運び、同校に注目していた(撮影/藤川満)
●取材協力
神山まるごと高専

取材・文/藤川 満

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