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 宮崎―神戸間で運航する宮崎カーフェリー(宮崎市)は2023年度の輸送実績について、貨物、旅客とも前年度を上回る見通しだったと発表した。22年の4月と10月に就航した新船2隻が初めて通年で運航したほか、トラック運転手の時間外労働時間の上限規制で生じた「物流の2024年問題」への対応で陸送の一部をフェリーなどに切り替える「モーダルシフト」が進んだことが影響したとしている。(波多江航)

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宮崎港で出航を待つ「フェリーろっこう」
宮崎港で出航を待つ「フェリーろっこう」

 宮崎県の河野知事らが出席し、4月26日に県庁で開かれた県長距離フェリー航路利用促進協議会で同社が報告した。23年度の貨物(トラック)輸送量(見込み)は前年度比8040台増の6万9076台と伸び、2年連続の増加となった。

 新船効果も顕著に表れた。22年4月に就航した「フェリーたかちほ」、同10月に就航した「フェリーろっこう」はともに1隻当たりのトラック積載台数が旧船の130台から33台増えており、23年度は130台を超えて輸送した便数は157便(計2949台)に上った。ただ、上り(宮崎発便)が大半で、うち6便(計79台)に過ぎなかった下りの利用をいかに増やすかが課題に挙がった。

 県トラック協会の大久津浩専務理事は積載能力を高めた新船効果について、「(予約が混み合う)冬場でも乗れないという声がなくなった」と指摘。物流の2024年問題への対応に関しても「陸送だと運転手2人で乗らないと東京まで行けないところが、フェリーだと1人で済む」と語った。

 一方、旅客輸送量は前年度比2万9433人増の12万4042人と、3年連続で増えたが、新型コロナウイルス流行前の19年度(13万2303人)には届かなかった。協議会では、大阪万博や、同カーフェリーの関西側の発着地が、14年に大阪南港から神戸港に変更されて今年で10周年の節目となることを生かし、集客を目指す案などが出た。

 宮崎カーフェリーの郡司行敏社長は「コロナ前の数値を目標にもう一頑張りする必要がある。観光と物流の両面で宮崎の経済に寄与する社会的使命を果たしていきたい」と語った。