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だが、その地方に住む人たちがエアビーを活用してより多くの観光客を迎え入れるようになれば、観光客がその地にオカネを落とし、地域が活性化することが期待できる。フランスが人口20万人以下の都市でエアビーを全面的に許可しているのはこのためで、2016年、フランス国内のエアビー利用者の15%が宿泊施設のない都市に宿泊した。

さらに言えば、エアビーの登場はホテルや旅館が時代に合ったサービスを日本人や外国人の宿泊客に提供できるように、リニューアルするチャンスにもなったはずだ。観光庁によると、日本国内の宿泊の11.5%は民泊が占めており、ホテルや旅館にプレッシャーを与えているのは間違いない。「訪日外国人観光客の数は増えているが、稼働率は驚くほど変わっていない。観光客の大部分が民泊に奪われているためだ」と、ある国内ホテルチェーンの支配人は語る。

民泊はほかの宿泊業と共存できるはず

特に旅館の場合、旅館でしか体験できないことをきちんと見直すいい契機となったはずだ。問題なく生き残れるはずだ。「旅館が提供する体験はホテルというより、レストランに近いものがある。それはコスト構造にも反映されている。なので、旅館をホテルや民泊と同じカテゴリーに入れるのは間違っている」と、高級志向の外国人向け旅行関連コンソーシアム「ザ・リョカンコレクション」を運営する福永浩貴氏は指摘する。

要するに、民泊はほかの宿泊業とも共存できたはずだ。そして、フランスと同じように、宿泊場所を民泊という形態で提供することによって、観光客はレストランや美術館などでおカネを使ってくれるようになる。

48万5000軒の民泊登録があるフランスのように、日本でもエアビーと観光庁がタッグを組めば、最強のコンビになっただろう。 エアビー利用者を対象に行った最近の調査で、東京は世界で最も人気の高い都市に選ばれた。3位が大阪で、2位がパリだった。

だが結局、 圧力団体や自治体の影響力、エアビーの傲慢さ、日本の外国人嫌悪(としか言いようがない)によってこのコンビは破局に追い込まれてしまった。政府から不動産屋までが一丸となり、民泊は「規制」という名のもとにほぼ禁じられてしまった。


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