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8位はSOMPOホールディングス290件。「コンプライアンス行動規範」で汚職・賄賂に関する方針を定め、海外子会社へも周知している。

以下、9位ニトリホールディングス272件、10位パナソニック256件と続く。

年間の件数が100件以上なのは、41位佐川急便まで。50件以上なのが88位NECネッツエスアイオリンパスの2社までとなっている。

権利保護に関する規定は今回ご紹介した全社(101社)が制定。窓口は社外で一括窓口としているIHI以外はすべて社内に設置。さらにほとんどが社外にも設置していた。

通報制度が機能している環境か

さて、この件数はどのくらいが適切なのか一般に使われている基準はない。ただ、2011年度からこのデータを集めてきた経験から、従業員数と対比するのが1つの見方であろうと予想している。

たとえば、東芝の2016年度の単独従業員数は3万2353人で件数399件で割ると81.1人。参考までに上位の製造業では7位のカルソニックカンセイ(312件)は単独従業員数3741人で1件当たりでは12.0人。ほかに10位パナソニックは224.5人、11位花王28.4人、12位新日鐵住金102.1人、14位IHI39.6人などだった。

ちなみに東芝は問題発生前の2013年度の589.2人(61件)から2014年度400.9人(88件)、2015年度176.0人(208件)と急激に向上している。

通報1件当たりの従業員数は100人未満が101社中58社、200人未満は同じく79社だった。過去も状況はほぼ同じで、われわれは「1年間で100人に1人が通報する」環境が通報制度が機能している目安のひとつとみている。

もっとも単独従業員数を基準にすることは課題も多い。通報可能な対象者はグループ会社を含む場合もあるし、正社員以外のパートやアルバイトが含まれる場合もある。通報可能な人数が明確でないため、単独の従業員数を使った数字はあくまで参考データであることには気をつけていただきたい。

さて、実際の内部通報では「一部の社員が通報とは関係ない不満等をぶちまけるケースも多い」という。社内の担当者の負担は非常に大きいようだ。しかし、それでも少しでも気になる点を自由に発言できる環境であれば、早めに問題点が浮かび上がってくる可能性は高くなる。

一方、多くの一般社員にとって総務部などの窓口ではなかなか連絡しにくいかもしれない。そのため、社外窓口で一本化するといったやり方もありそうだ。


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