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米ロ首脳会談後の記者会見で、プーチン大統領はシリア地域などの問題について、トランプ大統領との協調を首脳会談の成果の一歩とすることに言及している。

そのことは、イスラエルとイランの核戦争の危機回避について、トランプ大統領のネゴシエーション力が見事に発揮された証拠だとみていいだろう。

オバマ前大統領による「真のロシア疑惑」

もう1つの米ロ核衝突の危機に関しては、2014年のロシアのクリミア侵攻に対して、直後の3月1日に、オバマ前大統領がプーチン大統領に電話会談で抗議し、その後、ロシアとの軍事的緊張が継続したことだ。世界が知るまでには時間がかかったが、実は、プーチン大統領は問題勃発当初からクリミア問題でロシア核兵器の使用準備を整えていたと述べたと、英BBCが1年後の2015年3月に報道している。

ところが、こうした事態が核戦争の危機的状況へと向かうまで、オバマ前政権はいったい何をしていたのか。2012年3月26日、オバマ前大統領はロシアのドミートリー・メドヴェージェフ前大統領と、2人だけで通訳なしで、話をしていた。

その時、カメラが回っていないと思ったオバマ氏は、自身の最後の選挙(2012年11月)の後になれば、対ロシア政策に柔軟性が出せる、と小声でメドヴェージェフ氏に語り掛けた。メドヴェージェフ氏は、そのことはプーチン氏に伝えると応じた。

その様子は、生の声とともにテレビに録画され、多くの世界メディアに発信された。この無責任極まりないオバマ氏に対しては、現在トランプ政権の国家安全保障問題担当補佐官となっているジョン・ボルトン氏をはじめ、共和党側から痛烈な批判が浴びせられた。

このビデオの存在は、アメリカのメディアに知れわたり、一般にもユーチューブなどで視聴可能だ。2012年のビデオ録画のとおりだとすれば、その2年後のクリミア問題の展開や、その4年後の2016年の大統領選へのロシアによる干渉問題に至るまで、数多くの問題の起源をたどれば、オバマ再選の大統領選の年の2012年3月にロシア側に、オバマ大統領自身が「弱み」をさらし、余計な刺激を与えたからではなかったか。それこそが、「弱さ」を招いた「オバマ氏の真のロシア疑惑」ではないのか。

他方、ヒラリー・クリントン元国務長官は、当時、ウラニウム・ワンという企業体を通じて、核兵器の素材となりうる米国産ウランの年間産出量の20%をロシアに渡すという取引にゴーサインを出している。同じ時期には、クリントン財団がロシアの勢力から、何十億円もの寄付を得ていることや、ビル・クリントン元大統領が高額の講演料をロシア側から得ていると報じられ、アメリカのメディアから幅広く批判されている。


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