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自分の成功体験に基づいてわが子を激しく鼓舞する一方で、わが子の努力や成長を素直に認めてやることができず、「お前はまだまだダメだ」というメッセージを発し続けてしまいます。それは実は、過去の自分へのダメ出しなのです。

学歴コンプレックスがあるにせよ、高学歴ルートから外れるのが怖いにせよ、人生の成功を学歴にとらわれているという意味で同じです。コインの裏表でしかありません。

子どもの偏差値が「できる親」の証し!?

そもそも教育によって得られる成果は人によって違います。ある人は勉強して身に付けた知識と技能を利用して、画期的な発明を成し遂げ、大金持ちになるかもしれません。ある人は勉強して身に付けた教養とコミュニケーション能力で、たくさんの仲間をつくり社会を変革するかもしれません。またある人は数学の世界にのめり込み、食べることも忘れて数式の美しさに没頭するかもしれません。

さらにその成果は、教育を受けたその瞬間に表れる場合もありますし、数十年後に表れることもある。それこそ、人の数だけ、勉強の意味があるといえます。

つまり、その子どもが勉強して何を得るのかを、予言することはできません。要するに、勉強の価値は、やってみなければわからない。教育とは本来、「こうすればこうなる!」と効果をうたえないたぐいの営みなのです。

にもかかわらず、実際は「こうしたらこうなる!」と効果をうたう教育系コンテンツや、「これからのグローバル社会を生き抜くために」という脅しの文脈で不安をあおり、お金に換える怪しい教育類似商法が氾濫しています。教育にわかりやすい成果を求める風潮を利用したビジネスです。

ビジネス同様に教育の価値が数値化されると、子どもの価値も同じ数値で測られるようになります。

「あの子は○○学校の子、あの子は△△学校の子。○○学校の子のほうが格が上」とか「あの子は偏差値60、この子は偏差値40。偏差値60の子のほうが出来がいい」とか。

果ては、それがそのまま親の能力までを物語るようにもなります。「あの子の親は、息子を○○学校に入れたからすごい。この子の親は、娘を△△学校にしか入れられなかったから大したことない」など。


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