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そのほか、中東料理には小麦を砕いたブルグル、レンズ豆、オリーブオイル、きゅうり、トマト、ザクロ、イチジクといった日本でも手に入る食材が多い。スパイスでは、シリアンオレガノやスマックという甘酸っぱい香辛料、ごまを混ぜたザータルが極めて特徴的。ちょっと苦味があり、オリーブオイルとの相性は抜群だ。パンにつけて食べたり、魚介類にまぶして使ったりして、フュージョン料理の世界にも広がりつつある。

そのほかに多用されるのは、カレーの中心的な香辛料であるクミンやコリアンダー、オールスパイス、シナモンであり、日本人にも比較的なじみ深い香辛料が少なくない。スパイスは種類が多くてわかりづらいという声をよく聞く。とりあえず、クミンとコリアンダーの2つを押さえておこう。中東風の味付けを再現することができるだろう。

ナチュラルでほっこりする料理が多い

東京・銀座にある「中東Kitchen & Bar MishMish(ミシュミシュ)」の店主草野サトルさん(40)は、中東料理の魅力について、「甘さや辛さ、苦味といった料理の特徴はスパイスを除いて和食に近く、日本人の味覚に合う。やさしくて、ナチュラル、ヘルシーで、ほっこりする料理が多い。中東の自然や環境に育まれて旧約聖書の時代から食べ続けられ、ワインやビールに合う料理も豊富にある」と話す。草野さんが開店に際していちばん不安だったのは、中東料理のインパクトのなさだったが、それが逆に初めて中東料理を食べる人たちに驚かれているという。

そもそも中東料理って、何だろうか。中東には、国や地域ごとにエジプト料理やパレスチナ料理、イラン料理、モロッコ料理、イスラエル料理などがある。料理の世界にも、中東の複雑な歴史が影響を及ぼしている。西欧列強によって人為的な国境線が引かれた中東では、国家の地理的な領域と料理が必ずしも重なっているわけではない。

版図を大きく広げたオスマン帝国時代には、料理も伝播して各地に似たような料理が広がった。また、1948年にイスラエルが地中海東岸に建国され、多くのパレスチナ難民が生まれたこととも、料理の世界は無縁でいられなかった。
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フムス1つを取っても、レバノンやイスラエル、パレスチナで本家争いが演じられている。古くは13世紀にカイロで出回っていた料理本にフムスが登場する。


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