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飛騨市は2004年、古川町、河合村、宮川村、神岡町の2町2村が合併して誕生した。2016年、市全体の観光客数は100万5881人(前年比3.6%増)。古川町だけでみると58万4730人(同11.4%増)に跳ね上がった。『君の名は。』の封切りは8月末だったが、2016年冬にはすでに聖地巡礼がスタートしていたのである。

若い女性を中心に巡礼地ブームが起きた(写真:飛騨市)

2017年には飛騨市全体で113万0852人(同12.4%増)となり、古川町だけで70万0588人(同19.8%増)となった。とりわけ、古川町の白壁土蔵の古い町並みと鯉が泳ぐ瀬戸川には約38万6000人(同42.4%増)が押しかけた。図書館には2016年8月?2017年12月で累計10万9730人が訪れて、スマホで館内の写真を撮るという現象が日常化した。

図書館は、映画公開の2016年8月以前には入館者はまばらで、入館者数なども記録していなかった。比較するデータはないわけだが、想定を超えるというより想定していない事態が起こったわけである。

ブーム一巡傾向に豪雨災害が直撃

だが、ブームは突然に来て、突然に去っていく。2018年になると聖地巡礼ブームは徐々に一巡状態になっている。

ブーム一巡には、豪雨の直撃も関係している。2018年6月末に西日本豪雨災害が起こり、土砂崩れで高山本線の飛騨古川―富山間が長期の運休を余儀なくされた。

「特急ワイドビューひだ」も同区間が運休となった。「特急ワイドビューひだ」は、インバウンドの外国人旅行客の多くが利用していたこともあり、古川町には大きな痛手になった。北陸新幹線で富山から入ってくる旅行客が途絶したわけである。

この11月21日、坂上(飛騨古川市)―猪谷(富山市)間がようやく復旧し全線開通となった。145日ぶりの運転再開だった。都竹淳也飛騨市長は運行再開について、次のように語った。

「土砂流失で深刻な被害を受けた。工事には半年から1年はかかると思われたが、雪の降る前に復旧した。雪が降り出したら工事が進まないから、さらに遅れが生じる。この時期の復旧は本当にありがたい。多くのインバウンド客は高山本線を利用する。運休でインバウンド客の足が遠のいたが、復旧で大勢の人に来てもらえる。アジアからのお客に雪景色や酒蔵巡りなどを味わってもらえる。涙が出る思いだ」


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