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また、来年にはメル・ギブソン主演の2000年映画『ハート・オブ・ウーマン(原題:What Women Want)』を、男女を入れ替え、タラジ・P・ヘンソン主演でリブートする『What Men Want』が北米公開される予定だ。しかし、2016年の女性版『ゴーストバスターズ』が保守派の男性からバッシングを受けたことを振り返れば、この流れが受け入れられるようになったのが、ごくごく最近であることがわかる。

そして、『オーシャンズ8』や、夫を亡くした妻たちが暴れまくるヴィオラ・デイヴィス主演の『妻たちの落とし前』(来年4月日本公開)にも明らかなように、ただ女を主人公にすればすむわけではなく、その女たちは、男並みに強く、しっかりして、複雑な人間性を兼ね備えていなければいけない。

近年、ハリウッドで最も耳にする言葉のひとつは「strong female character(しっかりした女性のキャラクター)」。女優は「そのひとりを演じられて光栄」と語り、プロデューサーや監督は「そういう女性像を映画に入れるのは重要なこと」と、誇らしげに語る。たとえば戦場を舞台にした歴史物など、実際にその場には男しかいなかったという話ならともかく、「strong female character」を出せる余地があったのに出さなかったとあれば、今の業界では、まるで罪を犯した者のように扱われる状態なのだ。

Netflixが女性に配慮する目的

『聖闘士星矢』には、もちろん、強い女性を出してくる余地がたっぷりある。日本では2017年に公開された『パワーレンジャー』だって5人のうちふたりが女なのだから、ひとりではなくふたりにしてもいいくらいだ。だから、やらないわけにはいかないのである。

だが、本当にその目的を貫くなら、別のキャラクターを選んだほうがよかったかもしれない。女性にするキャラクターに、繊細な心を持ち、ピンクの鎧をつけている瞬を選んだことに対しては、「それ自体が女性差別的発想」という批判が上がっているのだ。

このやりかたは中途半端で「偽善的」と非難されるのもやむをえない部分がある。と言うと、「そんな大人の論議をアニメの世界にまで持ち込まなくても」という声も聞こえてきそうだが、それは違う。むしろ、アニメだからこそ大切なのだ。


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