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現状、グーグルに代わる「検索やキュレーションの窓口」があるわけではない。しかし、人々の間でのネットの信頼性が落ちると、ネットの成長とともに大きくなってきたグーグルの成長にも影響が出る。

グーグルは「ネットを良いものとして維持したい」という善意も持っているし、同時に「ネットを良いものにすることで、ネットの利用量増大を維持したい」とも考えている。メディアの自浄作用が、善意と打算の両面から行われているように、グーグルもまた、フェイクニュースへの対策を、善意と打算の両方から行っている。

対策の1つは、検索エンジン自体の改善である。SEO(サーチエンジンへの最適化)の影響を下げ、本来の情報よりもフェイクニュースが検索上位に来る状況を打破するという改善は、今も継続して行われている。一方で、ニュースの質を上げるための基盤整備に一役買おうというのが、Google News Labであり、グーグル ニュース・イニシアティブの目的だ。

複数のプロジェクトで「報道の信頼性」を担保

こうしたことは、昨日今日に始まったことではない。実際、Google News Labは2015年にスタートした試みで、グーグルは以前より報道の品質向上プロジェクトを複数行っている。それらをまとめ、窓口をわかりやすくしたのがGoogle News Labと言えばいいだろう。

グーグルは報道機関向けにさまざまなサービスを提供している(画像:グーグル)

最大の目的の1つが、「グーグルをニュースソースとして使うための窓口を提供すること」だ。

ネット上での人々の活動、特に検索を切り口にした動きは、グーグルに蓄積されている。それを取り出し可視化するのが「グーグルトレンド」のようなツールだが、うまく使うことで、メディア側は人々の動きを可視化し、ニュースとしての視点を提供できる。そうした記事はすでに多いが、Google News Labでは、グーグル トレンドのデータ活用を推進し、グーグル トレンドを活用したメディアによるレポートの紹介を行っている。そうすることで、ジャーナリスト側に「こういうふうに活用できる」という事例を与えているわけだ。

次に、「新しいテクノロジー活用の紹介」がある。VRなどの技術を報道活動に使う組織とコラボレーションを行い、その情報を提供している。

こうした点は、テクノロジー企業であるグーグルが取り組むものとしては、非常にわかりやすい例かと思う。だが、Google News Labの取り組みのなかではごく一部にすぎない。むしろ、他の取り組みのほうが中核になっている。


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