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企業に感謝の念を抱く学生も多い。企業が誠意を持って学生に接すれば、学生もその誠意に応えるのだ。

「学生思いの企業は、本当に正直な自分を受け入れてくれるんだなと思った。内々定をくださったが泣く泣く辞退したところからも“今後ともよろしくお願いします“と温かいメッセージをいただいた」(文系・近畿大学)

学生のコメントを読むと、機械的なスクリーニングを嫌っており、人格を見て判断してほしいと考えている。もっともこの希望は必ずしも叶えられない。次に紹介する学生はコメントの最初に「採用活動も大変」と書いているが、スクリーニングをしなければ応募学生すべてと面接することになり、そんなことは物理的に不可能だ。採用はつらい。

「採用活動は人件費や時間がかかって大変だと思いました。そんな中、人格をじっくり見て判断してくださる企業は、人を大切にされる企業、という印象を持ったので、今後も好感を持ちます」(理系・武蔵野美術大学)

就活で、いままでの考え方を変えられるか

学生は就活によって成長していく。採用ホームページの情報だけでなく、その他の情報源にも目を向けるようになる。

「有価証券報告書を確認し、事業性などを見るようになった」(文系・早稲田大学)

「さまざまな企業が関わりあっていることを改めて実感した。街中の広告などを注意深く見るようになった」(理系・岩手大学)

「CMをビジネスの一環として見るようになった」(理系・慶應義塾大学)

有価証券報告書や街中の広告、CMを見るのは企業研究に役立つだろう。また、CSR報告書も企業の姿勢を知るうえで役立つ。労働環境や女性活躍・登用についても豊富なデータがあるからだ。

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最も重要なのは企業と接したときのフィーリングだろう。いくらデータが立派でも相性が悪ければ仕方がない。その相性を知るためには、足を運び、会って話す必要がある。話せば見えてくるものがある。

「ホームページだけでなく、足を運んで聞いてみるとまったく違う雰囲気を感じると思いました」(文系・尾道市立大学)

「説明会ではわからないことが多い。実際の社員の方と、お話しすることがとにかく大事」(文系・高崎経済大学)

最後に、印象に残った学生コメントを紹介しよう。おそらくコメントの意味は、就活以前に座学で学んだ際は、企業の見方が変わらなかったが、「自分という人間の見方(自分の価値観)」は就活経験によって大きく変化したということだろう。これが健全な就活経験である。

「企業の見方は変わらないが、自分という人間の見方が就職活動を通して変わった」(文系・関西外国語大学)

就活を進める中で、自分の価値観や見方が変わったことに気が付けば、それだけで大きく前進したといえる。

佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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