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現在の鉄道運賃では、よほどの長距離移動をしない限り、ICカードで2万円という金額を使うことは困難である。きっぷの代替手段として活用されるということであれば、この金額は妥当であろう。

そもそも、多くのSuica利用者は数百円の距離でしか使わないのが普通だ。無記名のSuicaを紛失した場合や、不正に利用された場合の損失を考えると、高額のチャージを可能とするのはリスクが高い。一気に高額のチャージをしておけば使うたびに残額を気にすることがなく便利かもしれないが、クレジットカードとリンクさせればオートチャージもできる。

電子マネーとしての利用は増えている

だが、同じ「FeliCa」の電子マネーである楽天Edy、nanacoはチャージの上限額が5万円で、WAONも設定変更することで2万円から5万円に引き上げられる。

これらは高額の買い物も想定されるショッピングのための電子マネーであり、少額な運賃決済のためのSuicaとは異なる。だが、最近は交通系ICカードを電子マネーとして利用できる店も増えてきた。書店や衣料品店、家電量販店などでは、駅ナカや駅ビル、街中を問わず多く見られる。

JR東日本をはじめ交通系ICカードを展開する各社は、電子マネーとしての利用拡大を図っている。2018年3月末現在の交通系電子マネー使用可能店舗数は47万6300件に達しており、同年5月18日には、交通系電子マネーの1日利用件数が700万件を突破した。また、総務省の「家計消費状況調査結果」によると、電子マネーを利用した1世帯(2人以上世帯)の1カ月あたり使用金額は平均1万7644円(2017年)で、その額は年々増えている。

電子マネーの利用件数、そして平均利用額がこれだけ増えてきていれば、交通系ICカードについても再発行可能な記名式のものや定期券などでは、2万円以上のチャージを可能にしてもいいのではないかとも思える。電子マネー間の競争がある中で、交通系ICカードが勝ち抜くためにはチャージ上限額もほかと同じレベルになってもよさそうだ。


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