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実習を経て、どんな人を採用するのだろうか?

「学校との連携や研修の成果もあり、実はこれまで不採用になった人は1人もいません。どんな人でもやり方を工夫して、どう対応するかを考えるための実習なんです。本人が希望してくれれば、採用しています」と打ち明ける。

採用が難しいと感じた人も、もちろんいる。「自分の言いたいことだけ言って去ってしまい、ほとんど会話が成立しない人がいました。でも、実習中によい点を見つけてふと褒めたら、その瞬間に表情がガラッと変わりイキイキとしたんです。これだと思い、毎日よいところを見つけて表彰状を渡すと、少しずつ前向きになり、仕事ぶりも対人関係も向上していきました。

ただし、褒めるだけではありません。これはできていると褒めた後、課題があればこうしようと言い続けます。どんなに社会性が乏しい子でも、学校の先生はその子の可能性を信じて、うちに託されるのでしょう。その思いをくみ、私たちも可能性に光をあてて伸ばしていきたい」と力を込める。

いちばんの秘訣は「採用を続けること」

就職後も、学校や就労支援センターのサポートを受ける。例えば、新卒なら入社3年目まで先生や家族を招いて支援会議を行う。「先生が来られると本人は喜び、頑張るんですよ。ありがたいです」。

家族会を開き、交流の輪を広げるのも同センターのこだわりだ。「障害のある人が長く勤めるには、会社と家族、学校、行政、医療など支援の輪がつながり連携することが大切だと感じています」

障害者雇用を始めてから、商品と数が一目でわかるように商品棚に写真を掲示。誰にとっても使いやすくなり、仕事の効率化につながった(筆者撮影)

障害者雇用を始めて丸8年。試行錯誤を重ねて、働き続けられる仕組みを作り上げてきた。坂井さんによると、いちばんの秘訣は”採用を続けること”。

「毎年、新しい人が入ってくることで、みんな2年目から先輩になる。

1年目は支援してもらう側ですが、2年目になると支援する輪に入ることができて、先輩として張り切ってくれる。もともと30人ほどで限界がくるかなと思っていたけれど、39人になってもまったく不都合がなくて。毎年少しずつでも採用していきたいのです」


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