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 少子高齢化やカジュアル志向を受けて紳士スーツ市場は縮小が続くが、個性やこだわりを求め、オーダースーツを買い求める若者が増えているのも追い風だ。

 岸社長と一緒にサービスを考えているという息子の岸裕亮専務は「お客さんの声や現場のあるあるから発想を得ることが多い」と明かす。裾買い取りサービスは、お客さんの「短足だと損をしている気分になる。使う布が少ない分、料金をまけてほしい」という声から生まれたという。

品質の高さにも自信

 人目を引くサービスだけではない。老舗らしく品質へのこだわりも強い。岸社長が「とりあえず着てもらえれば満足してもらえる。リピーターになってもらえると思う」と、自信を持って言い切る妥協のない丁寧な縫製による品質の高さが一番の売り。次期社長候補の裕亮専務にも「目先の利益にとらわれず、品質とお客さまとのつながりを大事にしてほしい」という。

 スーツ1着を無料にするおごりサービスも、「上司におごってもらったお客さんが将来、今度は部下と来てくれたり、自分の子供や孫たちにすすめてくれたりと、長いお付き合いができれば、もとはとれる」と岸社長は笑う。ユニークなサービスは、そんなつながりをもたらすつかみの役割を担っているようだ。



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