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三峯神社参道に建つ「随身門」。標高1100メートルの境内は、森閑とした山の霊気に包まれている(筆者撮影)

埼玉県秩父市の標高1100メートルの山上にたたずむ三峯(みつみね)神社は、秩父鉄道の終点「三峰口」駅からバスで50分、自動車の場合、関越自動車道の花園インターから、有料道路経由で1時間半ほどかかる。

交通の便のよくない山深い神社といえば、一般に寂れているイメージがあるが、三峯神社は若い世代からシニア世代まで、多くの参詣客が訪れている。

三峯神社の何が、多くの人々を引き付けるのか。現地を取材し、三峯神社権禰宜(ごんねぎ)の山中俊宣(としのり)さんに話を伺った。

「狼」を神の使いとする信仰

神秘的な霧の中に立つ日本武尊の銅像(筆者撮影)

関越道の花園インターから神社までは、かなりの距離があるが、途中の道の駅には「ダムカレー」や「行者にんにくソフト」などのご当地グルメがあり、西武秩父駅のすぐ隣には、西武グループが運営する日帰り温泉施設「祭の湯」が2017年4月にオープンし、寄り道するのも楽しい。

林道を除く、三峯神社への唯一のアクセス路である県道278号線は、二瀬ダム(秩父湖)の天端(てんば)の上を通過し、つづら折りの山道となって、三峯神社へと続く。駐車場に降り立つと、下界とは明らかに気温差があり、山の霊気を感じる。

筆者は、三峯神社を訪れるのは4度目だが、境内には霧がかかっていることが多い。標高を考えれば、霧というより雲の中にいるというのが正しいのかもしれないが、まさに“神秘的”な雰囲気に包まれている。

神社に伝わる由緒によれば、三峯神社は、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の折、イザナギ、イザナミの2柱の神をこの山にまつったのがはじまりとされ、江戸時代以降は、「御眷属(ごけんぞく)信仰」が盛んになった。


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