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先ほどの3つの調達方法のうち、借金は人から借りた、いわば他人のおカネです。一方、出資は株主が出したおカネですから所有権は株主のものです。さらにそのおカネを使って上げた利益は言うまでもなく株主のものということになります。株主がおカネを出資するのは、出したおカネを使って儲けてくれることを期待してのことですから、最後に残った利益は株主のものであるのは当然です。

もちろん、ここで言う利益とは売り上げから製造原価やさまざまな経費を引き、従業員の給料等も払い、最後に税金を払ったうえで、最後に残ったおカネのことです。

利益は「誰のもの」なのか?

では、企業はそうやって残った利益をどうやって処分するのでしょう。ここでは大ざっぱに言って2通り方法があります。1つは配当として株主に払うこと(自己株買いをして株主の価値を高めるのもある意味、株主への還元です)、そしてもう1つは新たな事業に投資するために土地や設備を購入したり、そのための現金を用意したりしておくことです。

つまり、内部留保というのは最終的に残った利益の中から株主に配当を支払った残りの分のことですから、支払った配当金も残った内部留保も、どちらも株主のものなのです。

また、今の説明でおわかりかと思いますが、内部留保というのはイコール現金というわけではありません。おカネの出どころとして企業が儲けた利益の中からさまざまなものを払った残りが内部留保ですから、実際にはそのおカネで購入したものも含まれますし、現金で持っている部分もあります。いずれにしても内部留保は株主のものです。

「内部留保課税というのは、すでに税金を払い終えたおカネに課税するのだから二重課税になる」、それはそのとおりです。また、「内部留保という会計上の定義があいまいなものに対して課税するのはおかしい」、それもそのとおりです。

しかし、私はより本質的な問題点があると思います。


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