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他の3つのサンプル(=弊社のほかの社員)についても同様の分析を行った結果、1日当たり平均で約14分の労働時間の減少に対し、「買い物、趣味」などは増加せず、「睡眠」などが増えた。

労働時間を減少させるために仕事中の集中力を高めた(頑張って働いた)結果、労働時間が減少したにもかかわらず、むしろ疲労が増して睡眠が必要になった可能性などが考えられる。「家事」の増加寄与も大きかった。普段の平日に家事に費やす時間が十分でないことなどが理由だろう。

「時間」が消費の伸び悩みの原因ではない

いずれにせよ、働き方改革による早帰りに成功したとしても個人消費がすぐに増加するとは限らないという結果が得られた。むろん、人口減少社会において、消費者の数の減少を1人当たりの消費拡大で補う必要があることは事実である。しかし、時間が有限である以上、これは容易なことではないかもしれない。

上記の結論とは矛盾するようだが、最近ではオンラインショッピングの普及によって時間がなくても個人消費を増やすチャンスは増えている。それでも1人当たりの消費が伸び悩んでいるということは、モノに対する欲求が低下しているなど、時間では解決できない課題が背景にある可能性があるだろう。この課題は働き方改革よりもずっと解決が難しい。

末廣 徹 大和証券 チーフエコノミスト

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すえひろ とおる / Toru Suehiro

2009年にみずほ証券に入社し、債券ストラテジストや債券ディーラー、エコノミスト業務に従事。2020年12月に大和証券に移籍、エクイティ調査部所属。マクロ経済指標の計量分析や市場分析、将来予測に関する定量分析に強み。債券と株式の両方で分析経験。民間エコノミスト約40名が参画する経済予測「ESPフォーキャスト調査」で2019年度、2021年度の優秀フォーキャスターに選出。

2007年立教大学理学部卒業。2009年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修了(理学修士)。2014年一橋大学大学院国際企業戦略研究科金融戦略・経営財務コース修了(MBA)。2023年法政大学大学院経済学研究科経済学専攻博士後期課程修了(経済学博士)。

 

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