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一方、この連続立体交差化と合わせて行われることになったのが、「新潟駅新幹線・在来線同一ホーム乗換事業」である。在来線の連続立体化は、駅の東側で線路を跨ぐ陸橋(東跨線橋)をクリアする必要があったため、高架橋はその上を越えることとなった。すると新幹線と同レベルの3階にそろう。そこで両者の間を新ホームで結べば、上越新幹線列車と白新線経由で新潟と庄内地方や秋田方面を結ぶ特急「いなほ」の乗り継ぎを、階層の上下を経ずに行えるようになる。

1958年の駅移転とともに建てられた駅ビルは4階建てで今や昭和の香りが色濃く漂う(撮影:山?友也)

連続立体化が都市計画決定した2005年度に、連立化とは別枠の事業として県・市・JRで協議が持たれ、急ぎ計画が詰められた。その結果、2008年2月に連立化の工期に影響しない「軽微な都市計画変更」の扱いで認可された。

そもそも、この計画は「羽越本線高速化」の構想によって生まれた。東京?酒田間約500kmは4時間前後を要しており、当時でも東京?青森間約730kmの所要時間とも大差なかった。このため時間短縮は山形県庄内地方にとっては大きな課題で、とは言え全幹法で基本計画路線とされている羽越新幹線は現実的にはまったく見通しが立たないことから、1990年代から羽越本線の速達化が構想されていた。

1999?2000年には、国によりミニ新幹線化とフリーゲージトレイン化の調査が行われ、概算事業費や課題等が明らかにされた。その後、新潟県と山形県が「白新線・羽越本線高速化・新幹線直通運転化調査」を行った結果、在来線高速化の手法として、実現性の高いことから段階的に導入してゆくことが効果的であると結論付けている。

「いなほ」乗り継ぎ向上で航空機に対抗

一方、山形県庄内地方には1991年に庄内空港が開港している。当初は先行きが不安視されたローカル空港で、現実にも関西や北海道線は廃止されてしまったが、自治体の利用促進策もあり、羽田線は好調を呈する。2006年には夜間の駐泊が行われるようになったことで1日3便から4便へと増便され、さらに最近は定員200人に満たない小型機から270人程度の中型機へと機材が大型化され、混雑緩和と予約の取りづらい状況の改善が図られている。

こうした状況は、取りも直さず「いなほ」+上越新幹線の利用状況に影響を及ぼすもので、さらに北陸新幹線開業により北陸方面の乗客がごっそり転移してしまった上越新幹線においては強化策が必要とされている。そのため、JRにとっても「いなほ」との乗り継ぎ利便向上は、大いに動機を持つところ。

なお、羽越本線高速化改良のメニューとしては、単線と複線が混在する路線での駅構内の分岐器改良による通過速度向上、カント扛上や緩和曲線の延伸による曲線通過速度の向上、曲線半径の拡大等が挙げられているが、新たな土地の取得を伴う工事や単線区間の複線化等は、事業費が大きく高騰するとして積極的ではない。ミニ新幹線やフリーゲージトレインも、現状では技術的、財政的に大きな課題が横たわる。高速化策の一メニューである車両更新については、最高速度時速120kmの485系から同130kmのE653系にすでに置き換えを完了しているため、線路改良後のスピードアップへの対応が可能となっている。


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