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デリヘルドライバーとはどのような仕事内容なのだろうか(写真:駒草出版)

前回の記事(天才音楽少年が水商売にのめり込んだワケ)に続き、『デリヘルドライバー』(駒草出版)の執筆を通して出会ったデリヘルドライバーの人生を紹介したい。

ところで、デリバリー型ファッションヘルス(通称・デリヘル)という性風俗が誕生したのは比較的新しい。2000年代以降である。当時(2003年)の東京都知事・石原慎太郎が、警察官僚だった竹花豊を副知事として招聘。「歌舞伎町浄化作戦」と称する大規模な風俗店摘発を開始した。いわゆる「ショバ代」や「みかじめ料」などが、暴力団の資金源になっているという理由からだ。

「歌舞伎町浄化作戦」がなし崩し的に方向転換

ところが直後から始まった東京オリンピック招致運動(このときはリオデジャネイロに敗れ、東京開催は2020年に)と、いわゆるインバウンド消費を見込んだ観光立国化推進によって、「歌舞伎町浄化作戦」はなし崩し的に方向転換してしまう。

つまり「外国人観光客に見られて恥ずかしい、下品で淫らな看板を置かせない」という方針となった。そこで店舗型の風俗店には厳しい規制が敷かれたのと裏腹に、無店舗型に対しては、野放図なほどに寛容な姿勢を見せたのだ。結果デリバリー型(デリヘル)の風俗店が、爆発的に増加することになる。

女性が客の元へ出向く性風俗は、デリヘルから始まったわけではない。1980年代から流行り始めた、デートクラブというものがその起源としてある。これは東京でいえば赤坂プリンスやホテルオークラなど、一流ホテルに客が部屋を取り女性を呼ぶという、まさにバブリーな遊びであった。

ただしデートクラブは現在でも健在だ。富裕層の男性相手に「会員制」を謳い、女性に対しても「安心」と「高額収入」をアピールしている。中にはホームページにて「男性は年収4000万円以上のセレブ限定」「貴女も本物のレディとして、シンデレラストーリーを紡いでみませんか?」などと書いているところもある。まさに映画『プリティ・ウーマン』の世界である。


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