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「(衝突することの多かった)母親のおかげ。自分が立ち直ることを誰よりも一番望んでくれていることは知っていた」と明かす。

たとえば、不登校が続く日々でも自分のぶんの弁当がキッチンに置かれていた。食べずに勝手にインスタントラーメンを作ってお昼にしたときは文句を言われたが、翌日はまた弁当があった。

大検や大学紹介のパンフレットが、リビングにさりげなく置かれていることも知っていた。

待ってくれる=信じてくれている

「(母親は)私を待ってくれているんだと感じた」

待ってくれるは、イコール「信じてくれている」という信頼につながった。

高校の先生は彼女が1度登校すると、「明日も来なさいね」とか「そろそろ志望校決めないとヤバいよ」と言う。

「ほとんどの大人って、うちらを待ってくれないじゃないですか。親たちも以前は同じで、早く普通に学校行ってくれって急かされている気がした。でも、母親はだんだん違う対応をしてくれるようになった」

行けそうな大学が見つかり「ここ、行けるかも」と話したら、どこで見つけてきたのか、その大学の卒業生に会わせてくれた。

「すごく生きてることが楽しそうな、自由闊達なおばさんって感じで。ああ、こんなオトナになるのもいいなって思えた」

学校パンフレットではわからない「自由闊達」が、少し理解できた気がした。

徐々に出かけられるようになった女性が「大学見学、行ってもいいよ」と母親に告げたら、喜びのあまりなのか1日4カ所も連れまわされた。

「ママ、私、1日に4つも何かをすることはできないよ。2つが限度だから」と正直に言うと、母親は「そうだね。悪かったね」と謝ってくれた。
そしてその後、女性が自動車学校入学の申し込みと大学の願書の取り寄せというふうに、1日に2つのことをやり遂げた日には「2つもやれるなんてすごいじゃん!?よく頑張ったね」とLINEにメッセージをくれた。

「私のことわかってくれているんだと思うと、うれしかった」

この女性の母親のように押し付けずに待つことが、10代の心をほぐすことになるのだ。


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