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「薄いピンクが日本人に合っている」のくだりはこじつけ感がぬぐえませんが、ジョンに記事のことを伝えると

Were they all grafted? (全部接ぎ木なの?)

とジョンが聞いてきました。そこがポイントではないのですが……。でも、これは筆者もその記事を読むまでは知りませんでした。

The article said the Yoshino cherry tree cannot be grown from a seed. (その記事によると、ソメイヨシノは種からは育てられないらしいよ)

Why not? (なんで?) と言われたのですが、そんなこと筆者にはわかりません。記事に書いてありませんでしたから。「自分で調べて」と言うと No, that’s fine. (別にいいよ)ですって。

「わび」と「さび」

でも、その記事でいちばん印象に残っているのは、2つ目の理由。「短命サクラの花が1?2週間で散ってしまう様子が、日本文化の『わび』『さび』に通じるから」というものでした。

日本に住んでいるから、当然「わび」「さび」は知っているだろうと横着して、訳さずにそのままwabi-sabiとジョンに言ったら

What’s “wabi-sabi”? (「わび」「さび」って何?)

とすかさず尋ねられてしまいました。うーん、実は筆者もぼんやりとしかわからないのだけれど……。

昔、英会話の教師になったばかりのころ、先輩教師に「ただ英語が話せるだけじゃなくて、日本や日本人に特有のものは英語で説明できるようになったほうがいい」と勉強会でしごかれたことがありました。訳しづらい日本的なものは「英語でなんて言うんですか」と、よく生徒に聞かれるというのが理由でした。

そのときに「わび」「さび」の説明を練習させられたのを思い出しました。いろいろ詳しい説明もあったのですが、もう20年以上も前のこと。いまでもかろうじて覚えているのは

Wabi is to find and enjoy richness in poverty and beauty in simplicity. (「わび」というのは、不足の中に充足感を、質素さの中に美を見いだして楽しむこと)

という文くらいでした。とりあえず、この暗記文をジョンに向かって唱えると、「さっぱり意味がわからない」と失笑されてしまいました。悔しいので、Maybe it’s too philosophical for you to understand.(キミには哲学的すぎて理解できないだろうね)と負け惜しみを言ったら、What’s sabi then?(じゃあ、「さび」は?)と畳みかけられました。


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