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Sabi is beauty in oldness.(「さび」というのは、古さの中の美)

と言うと、「ああ、日本も歴史が古いから、昔のものを大切にするよね。古いものが美しいかどうかは、ボクにはわからないけどね」とうなずいていました。どうやら「さび」のほうは、なんとなく伝わった様子。イギリスも、古いものに価値を見いだす文化ですもんね。

ところが、「それで『わび』『さび』とサクラは何の関係があるの?」と困惑した様子のジョン。「サクラの木が古いときれいだということ?」とちょっとズレた解釈をしています。なるほど、もう少し説明しないと伝わらないか……。

Things seem all the more beautiful since they all die, disappear or change.(死んだり、なくなったり、変わったりするからこそ、ものはさらに美しく見えるんだよ)

つまり、「『さび』というのは、古いものだけでなく、何かが古くなっていく過程、朽ちていく過程にある美も含むから、サクラの散る姿も美しいと日本人は感じるってこと」と話すと、ジョンは納得してくれました。

サクラの表現いろいろ

一気に満開になって、あっという間に散っていくはかないサクラの姿は、日本人独特の美意識に合っているのかもしれませんね。ちなみに、サクラが「満開」というのは英語でどんなふうに表現するのか、知っていますか??サクラの花は

cherry blossom (サクラの花)

というのが一般的です。cherryにはサクランボという意味もありますので、「サクランボの花」ということですよね。cherry tree blossom (サクランボの木の花)でも通じるでしょう。もちろん、サクランボには観賞用の品種(つまりサクラ)と、食用の品種(いわゆるサクランボ)がありますので、われわれが思う「サクラ」というのは、食用の「サクランボ」の木とは異なるものです。でも、英語では区別をしませんのでこんな言い方になってしまうのです。

食用のサクランボの木ではなく、「サクラ」の木を指すというのを英語で明確に示すときには、花のほうを強調するためにcherry blossom treeと「サクラの花の木」なんて言うこともあります。満開というのはbe in full bloomを使いますので

The cherry blossoms in Tokyo are now in full bloom.(東京のサクラは、いま満開です)

と表現することができます。3分咲き、5分咲きのような表現は英語ではしませんので、むりやり訳すよりも、段階に分けてなんとなく説明するのが自然だと思います。


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