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――どのブランドも、特に輸入ブランドはどこもそういうビジネスをしたいと考えているけれども難しい。MINIはどうしてうまくいくのでしょうか?

やはり1959年に生まれたクラシックMINIがもつブランドの力が大きいでしょう。MINIを知らない人はいない。コンパクトカーとして最初に思いつくだけの知名度があります。BMWがゼロから新たなブランドを立ち上げていたならこのポジションを獲得できたかどうか。できたとしても、もっと時間がかかったでしょう。

新たなブランドポジションへ移行させようとしている(筆者撮影)

この昔のMINIが獲得したポジションは守るよう注意しています。そのうえで、約3年前からクラシックMINIがもつどこかやんちゃなイメージから脱却した「大人っぽさ」「本物らしさ」を現在のプロダクトに盛り込むよう努めています。

「ほかのクルマと同じになった」「面白くなくなった」と感じる人も一定数出てくるのは承知のうえで、その何倍もの人の満足度を高める「大人っぽさ」「本物らしさ」を盛り込むべきタイミングだと考えるようになったのです。クラシックMINIが築いた画期的なコンパクトカーとしてのブランドイメージを保ったまま、新たなブランドポジションへ移行させようとしています。

MINIのDNAは残すようにしている

――現在のMINIがかつてのクラシックMINIと技術的なつながりはなく別物で、時代も異なり、サイズを比較しても意味がないことはわかっています。しかし新世代となってからもモデルチェンジの度にサイズアップしています。クロスオーバーやクラブマンといった、より大きなプラットフォームを使ったモデルも追加されました。しかしそれでも販売台数を順調に伸ばしています。やる前からサイズアップはネガティブな要素にならないとわかっていたのですか?

ポルシェのファンには911しか認めない人もいるでしょうが、4ドアの「パナメーラ」や、SUV(スポーツ多目的車)の「カイエン」を追加して販売台数を大きく伸ばしているのを見ればわかるように、新たなポルシェファンを取り込んでいます。日本にも外国にも、3ドアしかMINIじゃないという人もいますが、5ドアやクラブマン、クロスオーバーなどを出したことによって新たなファンを獲得しました。

ポルシェもカイエンが出たことで911の販売台数が減っているわけではないのではないでしょうか。大きな派生モデルを出すことによるネガティブな要素はさほど感じません。それから3ドアハッチを中心に販売していた時代はセカンドカー、サードカーとしての役割を期待されていましたが、今ではMINIもファーストカーになりうるクルマのブランドとなりました。ただしどんなカタチであれサイズであれ“ゴーカートフィーリング”に代表されるMINIのDNAは残すようにしています。


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