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箱根の試乗会でボルボ・カー・ジャパン木村隆之社長はこの状況を、「ライフスタイルチョイス」という言葉で表現した。人がクルマに合わせるのではなく、クルマが人に合わせる関係と言えそうだ。

そしてXC40については、カジュアルな雰囲気を強調しており、「Me Car」つまりパーソナルユースがメインであると紹介していた。ファミリー志向の強いボルボの中では異端児と言えるかもしれない。

ボルボの車種はもともと中型ファミリーカー中心だった。オーセンティックなフォルムでいまなお根強い支持を受ける「240シリーズ」、直線基調のスタイリッシュなフォルムとスポーティな走りで人気を博した「850シリーズ」は、いずれも3ナンバーボディに排気量2Lを超えるエンジンを積んでいた。

カジュアルなスニーカー路線の確立

60シリーズはこのクラスを受け継ぐ車種で、中核という言葉がふさわしい。逆に40シリーズの源流は、オランダの自動車メーカーDAFの乗用車部門をルーツに持ち、長きにわたりオランダで開発・生産されていたこともあり、脇役というイメージが強かった。その流れを変えたのが「V40」で、カジュアルなスニーカー路線はここで確立した。

しかしV40はボルボがフォード・グループに属していた時代に開発されたプラットフォームをベースに生まれた。このプラットフォームはマツダも旧型アクセラに使っていた。

一方、XC90とXC60は、2010年に吉利汽車控股集団(ジーリー・ホールディングス)傘下になって以降開発された新世代プラットフォーム「SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)」を採用している。

筆者がヨーテボリでXC60のデザイナーから聞いた話では、以前のプラットフォームはグループ全体で使うことを想定しており、デザイン面での制約が大きかったという。専用設計となったことで、車体前部のオーバーハングが短く、前輪と車室が離れた、プレステージ性の高いプロポーションが実現できたそうだ。

このあたりの経緯は、マツダがフォード・グループから離れた後、スカイアクティブ・テクノロジーに基づいた新世代プラットフォームを開発したストーリーと似ている。


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