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アマゾンブルーの欧州仕様車(筆者撮影)

一方、バルセロナでの試乗会では、P1800/1800Sと同じ時代に「アマゾン」の愛称で親しまれた小型セダン、120シリーズの雰囲気を伝えるその名もアマゾンブルーと白ルーフの2トーンに乗った。オーセンティックな北欧らしさとモダンなフォルムのコンビも捨てがたい。

コンパクトSUVらしい遊び心はインテリアにも展開している。赤いシートやオレンジのカーペットなど、ボルボとしてはかなりビビッドなコーディネートを用意している。

シフトレバーと非接触充電対応トレイ(筆者撮影)

インパネは縦長の9インチディスプレイをはじめXC60に似ているが、シフトレバーは電気式とすることで小型化し、奥にはスマートフォンの非接触充電機能内蔵のトレイを用意するなど、新しいインターフェイスを積極的に取り込んでいる。これもカジュアルな車種だから似合う技だろう。

収納関係ではドアポケットの大きさが目を引く。インポーターではパソコンやティッシュボックスが収まることをアピールしていた。ティッシュボックスを車内に置くのは日本だけではないらしい。

荷室折り畳みフロアと3個のフック(筆者撮影)

しかしポケット内側はフェルトで覆われており、単なる物入れではない、温かみのある空間を演出していた。

さらに助手席側のグローブボックスにはフックが格納してあり、2分割の荷室床板は荷物固定のために立てるとフックが3個出現する。下にはトノカバーが格納可能で、後席は畳むと完全に平らになる。

シンプルかつ優しいセンスで表現する個性

ボルボのワゴンづくりの伝統が生きているとも言えるが、インポーターの説明ではカジュアル志向の車種なので機能を重視したとのことだった。

ボルボというブランドの軸はぶらさず、その中で3つのシリーズに固有の個性を与えている。しかも無駄な線や無粋な光り物に頼らず、同じ北欧生まれの家具にも通じるシンプルで優しいセンスで表現している。シリーズ全体でかなり練りこまれた造形であることが伝わってくる。今のボルボのデザインが高い評価を受けているのは、こうした部分が理由ではないかと思われる。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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