ニュース本文


また、青森市営バスの三浦氏は事業者が取り組むハードルの高さを課題に挙げる。「バス事業者は、自社の運行データを広く周知したい考えはあるが、人材不足に加え、データ作成に多額の外注費用がかかるため、GTFS形式のデータ作成のための一歩を踏み出せない事業者も多いと思う。すると、バス事業者が自主的にデータ作成を行うための環境整備が必要だ。それには安価で使いやすいソフトが複数登場し、選択肢が増えることが望まれるのではないか」。

GTFS形式のようなデータは、利用しやすいものとしてしっかりと整備・保守されれば業務の効率化も可能となり、また資産となる。そして、利用促進のための基礎データなど他のデータ作成への足がかりにもなる。しかし、なかなか価値を感じづらく、直接的な資産になったと感じづらいのが実情だ。

そのため、事業者が自身で整備し、保守することが理想であるとはいえ、そのハードルは高いのが現状だ。ゆえにGTFS形式データを整備する事業者を後押しする取り組みが今後重要になりそうだ。

企業もデータ作成に取り組み

こうした人材不足や効果測定、データの資産化、データ整備の難しさといった悩みを解決するべく、新たな事業を始めた企業がある。経路案内サービス提供を行うヴァル研究所だ。

ヴァル研究所コンテンツ開発部の山本部長(右)と諸星氏(左)(筆者撮影)

同社は経路案内サービスでは初となる「駅すぱあと」を1988年に開発し、1998年からバスデータにも対応してきた。同社がこのたび始めたのが「公共交通情報オープンデータ化アドバイザー」と「オープンデータ作成代行業務」だ。

ただ、事業としては決して珍しいものではない。そこでヴァル研究所は先発のサービスとの違いをこう説明する。

「われわれが20年間バスデータを扱ってきて、GTFS形式のデータ整備をはじめ相談を受ける回数が増えている。また、弊社は2016年2月からオープンデータ化を推奨しているが、正式にデータを作るところまではサポートできていなかった。そこで責任もってデータ化するために事業化した。また、弊社はバスデータ作成のノウハウがある。そのため、事業者の中にある一番いいデータを変換して作るという提案も含めて行うことができる。こうした事業でバス事業者の負担をトータルで減らしたい」(ヴァル研究所コンテンツ開発部・諸星氏)


1 2 3 4 5 6


記事一覧 に戻る 最新ニュース読み比べ に戻る