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また、2017年秋から今年の3月まで、物流各社が宅配料金の値上げに踏み切ったことも記憶に新しいところです。これに関連してネットショッピングの「○○円購入で配送料無料」の条件が少しかさ上げされているショップもあります。

そして2018年4月には納豆の値上げや居酒屋などのビール卸値の値上げがニュースになりました。チーズの値上げが決定されたという報道もあります。牛丼チェーン店といえば値下げのイメージが強いと思いますが、今は値上げが相次いでいます。

また、これと同じくらい注意したいのは「実質値上げ」です。「お値段据え置き、容量控えめ」のようなやり方で行われる実質値上げの方法が相次いでいるからです。

お菓子、冷凍食品、洗剤等の日用品などは「この商品はXXX円」というような価格の印象が強いため、値上げするとガクンと売り上げが下がるリスクがあります。そこで、内容量を減らすことで実質値上げを行っているのです。

これをシュリンクフレーションと呼ぶ人もいますが、実は相当の「実質値上げ」が行われています。たとえば板チョコの値段を「今も昔も100円くらいでしょう?」と思っていると、実は内容量は25%も減っているというような事態が起きているのです。

「値上げ」に踏み切る商品、「実質値上げ」をひっそり行う商品が混在するときは、モノの値段が上がっている実感がなかなか持てません。またA社が値上げ後、時間差でライバルB社も値上げというように時期がずれることもあって、これまた値上げのインパクトを感じにくくなっています。

ベア獲得でも実質「賃下げ」の可能性

今年の春は賃上げが行われたとずいぶんニュースになりました。連合のプレスリリースによれば、賃上げ額は平均して6128円、率は同2.1%に至ったようです。しかし従業員がすべて対象となる賃上げがあったとしても、注意が必要です。場合によっては「実質賃下げ」であったかもしれません。

モノの値段が2%上がった場合、生活コストは2%上昇します。つまり賃上げ2%あって初めて「プラスマイナスゼロ」となるわけです。

今年の物価がどれくらい上がるかは未知数です。もしかするとあまり変わらずに下半期は推移するかもしれません。しかし、「上がり始め」の時期は賃上げは物価上昇とほとんど相殺だと思うくらいが、個人レベルの家計の防衛戦略だと思います。

賃上げだからと喜んで消費を増やしていたら、実質的な物価上昇をカバーし切れないどころか、赤字家計に転落するおそれがある、と思うくらいがいいわけです。


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