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友人の弁護士は「モラハラ夫は、執着心が強いうえに、頭がよく弁がたつタイプが多いので、専門家の力を借りないとなかなか離婚できない」と言います。そこで私も、B子さんに正式な手続きに入ることを含め、弁護士さんに依頼することをおすすめしました。当初、B子さんは、弁護士費用がどれくらいかかるのかがわからず躊躇していましたが、こちらもご両親に事情を話したところ、援助してくれました。

離婚調停中にもらえる「婚姻費用」とは?

しかも交渉の過程はB子さんにとっては、思ったよりずっと精神的にも落ち着けるものでした。「離婚調停でも私の代わりに弁護士さんが夫と調停員の方と交渉してくれて本当に助かりました。それと、婚姻費用ももらえることになり、やっぱり弁護士さんに依頼してよかった」とのことでした。

婚姻費用とは、通常の結婚生活を送るとき、日常の生活費、医療費、交際費など必ずかかる生活費のことです。夫婦には婚姻費用を分かち合う義務があり、結婚している限り、その義務は続きます。夫婦関係が悪化し、別居などをしている場合でも義務は発生します。

この婚姻費用の金額は、夫婦の年収、子どもの人数、年齢などにより家庭裁判所が作成している算定表にもとづき決定されますが、B子さんの場合は、夫が高収入でB子さんが専業主婦だったので、夫がB子さんに支払う婚姻費用は毎月25万円になりました。

毎月25万円ももらえることになり、B子さんに精神的にも経済的にも余裕が生まれました。早く離婚したいという思いばかりの日々から毎日の生活を楽しむことができるように。一方、夫のほうはといえば、家を出て行った妻に25万円も支払うなんて、という気持ちになったようで、婚姻費用を半年支払ったところで、離婚に応じてくれました。

モラハラは、精神的にじわじわと追い詰めていく精神的な暴力なので、なかなか気づきにくいようです。しかし自分の心に違和感が出たらそれがサインではないでしょうか。自力ではなかなか解決できないことが多いので、今回の事例のようにぜひ専門家を頼ってください。

そして何よりも、モラハラに合わないためには、精神的にも経済的にも自立することが大切です!?無理な場合を除いて依存心や弱い心を克服し、誰の支配も受けずに自分の人生を心から楽しんでほしいと思います。

高山 一惠 ファイナンシャルプランナー(CFP)

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たかやま かずえ / Kazue Takayama

株式会社Money&You取締役。2005年に女性向けFPオフィス、株式会社エフピーウーマンを創業、10年間取締役を務め退任。その後、(株)Money&Youの取締役就任。女性のための、一生涯の「お金の相談パートナー」が見つかる場「FP Cafe」を運営。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を行い、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評。著書は『やってみたらこんなにおトク!税制優遇のおいしいいただき方』(きんざい)、『税金を減らしてお金持ちになるすごい!方法』(河出書房新社)、『パートナーに左右されない自分軸足マネープラン―ひとりでも生きていける力を身につけよう』(日本法令)など多数。

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