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男性は休職後、生活が乱れた。深夜まで起きていて、昼過ぎに起床することもしばしば。体がつらいためブラブラして1日を過ごし、外出は週1?2回になっていった。

男性は休職後も、大学病院を含むさまざまな医療機関で精査を受けた。にもかかわらず、特に問題はないと言われ続け、いろいろな治療を試みても症状は変わらなかったという。

筆者が男性を初めて診たときには、すでに休職から3年近く経ち、会社からは退職を打診されていた。

指導しても、なぜか改善しない

男性の体を診ると、全体的に硬かった以外、目立った異常はみられなかった。筆者は体の痛みやコリは運動不足によるもの(廃用症候群)と診断し、生活習慣を立て直し、朝起きる時間と夜寝る時間を決め、運動療法を少しずつ始めて筋力と柔軟性をつけていくように指導した。

男性が3週間後に筆者のもとを再び訪れると、思わぬ言葉を口にした。なんと前より調子が悪くなったという。

話を聞くと、初診の翌日からいきなり3時間のジョギングを開始したとのことだった。初日に張り切り過ぎたあまり、その翌日から体のあちこちが痛くなった。それにもかかわらず10日ほど頑張って続け、痛みに耐えられずやめてしまった。もちろん、筆者はここまでやるようには伝えていない。

男性は体を痛めて運動をやめた結果、横になっている時間が以前よりも増え、就寝時間も起床時間も初診前以上にリズムが崩れてしまったという。筆者は再度、病状と治療方針を説明し直し、焦らずに生活を少しずつ変えていくように念を押した。

筆者は男性に対し、家から外に出てリラックスできるようなことを始めたらどうか、ともアドバイスした。どのような運動をどれくらい行えばいいかを専門家に指導してもらうため、リハビリテーション科も紹介した。

ところが、男性の症状は改善しなかった。


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