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続いて海老名駅。ロマンスカー停車駅になるなど、最近の小田急が力を入れている駅であり、通勤定期が3.0%増、定期外が4.3%増という高い伸びを示した。

海老名には小田急線だけでなく、相鉄線やJR相模線も乗り入れている。こうした競合路線から利用者を取り込んだ側面もあるだろう。

一方で、近年海老名ではマンション建設ラッシュが続き人口が急速に流入している。沿線人口の増加により利用者が増えたという側面も強そうだ。

海老名駅前では小田急も3万5000平方メートルという大規模な再開発を行っており、これも駅利用者増を加速させそうだ。

多摩ニュータウンの中心に位置する多摩センター駅。京王と小田急による利用者争奪戦で最も注目を集める駅だ(編集部撮影)

最も注目度が高いのは多摩センター駅だろう。小田急の多摩センター駅と京王電鉄相模原線の多摩センター駅と隣り合っており、新宿方面に向かう電車が競合関係にある。これまでは京王が利用者数で一歩リードしていたが、ダイヤ改正に伴い小田急は新たに「通勤急行」を新設しスピードアップを実現、さらに始発列車を大量導入するなど、京王対策を鮮明に打ち出した。一方京王は、加算運賃の引き下げという「値下げ」で対抗、競争の行方が注目されていた。

多摩センターは京王の勝ち?

ふたを開けてみれば3月の1カ月間の状況は、小田急多摩センターは通勤定期が1.6%増、定期外は逆に3.7%減という結果になった。通勤定期の伸びは平均よりも弱く、定期外は前年同月比マイナス。これは小田急のダイヤ改正よりも京王の値下げのほうが勝ったということなのだろうか。星野社長は5月8日に開かれた投資家向け説明会の席上で、「京王さんの値下げの影響でしょう」とこの見方を認めた。ちなみに多摩センター駅の一つ隣にある永山駅の状況は、通勤定期が0.6%増、定期外は1.7%減であり、多摩センター駅と同じ傾向を示した。

緒戦の対決では京王が小田急を制した格好になったが、京王の見方はどうか。「3月については目立った影響はなかった」と、京王の広報担当者はあくまでクール。小田急のダイヤ改正の影響は長期的にじわじわと効いてくるとの考えで、今後の成り行きを慎重に見守りたいとしている。

一方で、新宿寄りの駅では、代々木上原が通勤定期3.1%増、定期外4.0%増、下北沢が通勤定期0.4%減、定期外6.0%増という結果となった。また、梅ヶ丘―和泉多摩川間の各駅をまとめた平均は通勤定期が1.9%増、定期外が2.3%増だった。いずれも年間平均より高く、ダイヤ改正の効果が顕著に出ているといえる。下北沢の通勤定期が前年同月比マイナスとなっているのが気になるが、「期間が短いため突出した数字になっているのかもしれない」(広報部)としている。一方で、今まで下北沢で京王井の頭線に乗り換えて渋谷方面に向っていた人が、下北沢で下車せずそのまま千代田線に乗り入れて表参道方面に向ったということも考えられる。だとしたら、小田急にとって悪い話ではない。


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