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安全を守るための法令をあまりに軽んじる姿勢にあきれる。
日産自動車が資格を持たない社員に完成車の検査を行わせていた問題で、9月の不正発覚後も大半の工場で無資格検査が続けられていた。
アルミや鉄鋼製品の性能を改竄(かいざん)していた神戸製鋼所では、社内の自主点検の際に管理職らが不正を隠蔽(いんぺい)していたことが新たに発覚した。
いずれも日本を代表する大手メーカーである。社内不正が常態化していたのだろうか。世界の信頼をも揺るがす背信行為の続発を重く受け止めなければならない。
安全性を早急に確認し、原因を徹底解明するのは当たり前だが、言葉で取り繕うだけなら消費者や取引先に見放される。
日産の西川広人社長は不正発覚時点の会見で「再発防止を徹底した」と強調した。非常時におけるトップの指示さえ製造現場に行き届かない状況に驚く。管理体制を強化するため、国内で生産した車両の出荷を全面停止したのも当然である。
資格者が検査する本来の態勢に改めたはずなのに、無資格者の検査が続いていたのは、管理職同士の連絡ミスなどが原因という。
西川氏は「現場任せだった」と釈明したが、指示が現場に届かないのは企業統治に決定的な不備がある証左である。
生産を拡大する一方で、完成車を検査する陣容が他社よりも手薄だったという指摘もある。