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その結果、独占禁止法上の規制からはじまり、各国における法人税や消費税などの租税負担に関して、さらには新サービスの許認可のプロセスなど、さまざまな意思決定の方向性を、自社にとって有利な方向性に進めることができているといえるでしょう。

GAFAは個人の人生に大きな影響を与えている

――そうしたルールを作る力は、GAFAが突出していると考えていいのでしょうか。とりあえず既成事実を作って、それをスタンダードにするというある種の強引さがGAFAには感じられます。

もちろんそういう強引さはあると思います。もうひとつ、GAFAの特殊性を付け加えるなら、「その機能領域において圧倒的なシェアを持っている状況で、彼らがルールを決めている」という点でしょう。フェイスブックのタイムラインに何が流れるか、グーグルの検索結果に何が出るか、それを彼らが一方的に決められる。これによって人生が変わる人もたくさんいるわけです。

限られた数の巨大企業が、国境を越えて、数億人の人類の人生にこれだけの影響力を持つ時代になりました。その影響力を行使できる企業の代表格としてあげられているのがGAFAであり、それらが国家という力を越えて存在しつつある現状に対して、いわば警鐘を鳴らす必要があるのかもしれない、そうも思わせる本ですね。

たとえば「分子生物学」「大学」「良い研究室」というキーワードで検索したとします。どの研究室が検索結果のトップに来るか。その検索結果によって、その人が入りたいと思う研究室が変わったりする可能性があります。あるいは「経営戦略」と入力して、私が上梓した『経営戦略原論』が上位に出てくれば、私の本は評判になっていてすばらしいということになります(笑)。

もちろん、こうしたアルゴリズムは中立的に設計されていると説明されていますし、主張されています。しかし、その中立的というものは絶対的に正しいとは必ずしもいえないはずです。

GAFAは個人の人生に大きな影響を与える。しかもそれを、国が統制していない。彼らが行っている制度戦略自体は従来あったものですが、彼らが作り出しているルールの影響力は、誰も無視できないほど大きいのです。

――それも圧倒的なシェアを持っているからこそ、ですね。

ええ、圧倒的なシェアを握っているからこそ、その力は無視できないものであり、その力の方向性がどこに向かうのかは、無視できない関心となります。日本におけるテレビのキー局の影響力も、今はだいぶ減ったとも言われていますが、近いものがありましたよね。

誰もテレビを持っていない時代、街頭テレビしかなかった時代は、テレビが何を流すかはそれほど重要ではありませんでした。しかしほとんどの家庭に普及して、ほとんどの人が見るようになったからこそ、テレビが大きな影響力を持つようになったわけです。


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