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そういう事実を知っているので、パッと見が綺麗になっていても、どうにも安心できないのだ。ただ、松原タニシさんの場合は、住み始めてから起こるトラブルこそが飯のタネだ。

この部屋は、逆に綺麗すぎて不満な様子だった。家賃は5000円値引きされて5万5000円だった。その地域の相場と比較すると安めだ。

松原さんも、

「まあ、ここでいいかな? 」

という気持ちになったとき、不動産屋さんが口を開いた。

「あの、オススメはできないんですけど……。もう1軒、事故物件があるんですが」と、いかにも苦しそうな表情で話す。

「かなりヤバい部屋があるんです。場所は新宿の一等地なんですけど、すごい嫌な感じがして、正直僕は行きたくないんですが……。すでに予約は入っているのですが、中国の人なんです。オーナーはできれば日本人に入居してほしいと言っているので、入りたいと言えばねじこめると思います」

松原さんは聞くやいなや

「内見させてください!!」とお願いしていた。

担当者は苦悶に満ちた表情のまま、「ヤバい物件」に向けて車を走らせた。

その物件の住所をスマートフォンの地図アプリに打ち込んでみると、本当に新宿の一等地にあった。最寄り駅から徒歩1分である。

そして部屋は12畳(キッチン含む。部屋は10畳ほど)で月6万円という破格の値段だった。もともとは8万円の家賃が2万円も安くなっているのだ。

とんでもない亡くなり方でもしているのですか? と聞くと

「50代の男性が首吊り自殺をしています」

と言われた。

もちろんショッキングな話ではあるが、条件で言えば先ほどのロフト付きアパートと同じである。

なぜそんなに安いのだろう? と考えているうちに物件に着いた。


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