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送迎待ちの問題は観光が主力産業となる沖縄では関心も高く、2016年頃から県内のメディアで取り上げられ、県議会でも話題となった。そこで2016年度から、沖縄県はこのレンタカー会社の送迎待ちの解消に取り組むようになった。

那覇空港でのレンタカー営業所への送迎待ちの様子(筆者撮影)

まず2016年度は実態調査を行うことで原因と課題を洗い出し、2017年度にはレンタカーの混雑予報の提供、レンタカーを借りる場所の分散化、リムジンバスを用いたレンタカー送迎客の輸送の実証実験といった取り組みを行った。この取り組みにより、中の島の待機人数は約470人から約300人まで減った。

また、OTSレンタカーでは自社運行と路線バス会社との契約費を比較検討し、今年4月から送迎車を路線バスに切り替え、レンタカー利用者はバス運賃無料という取り組みをはじめた。

観光客に使いづらいバス

だが、このままレンタカーの営業台数が増え続ければ、いずれ限界がくる。「短期的にはインフラ改善で効果はあるかもしれないが、このままレンタカーが増えてしまえば価格競争に陥り、いずれインフラ的にもレンタカー業界的にも限界がきてしまう。そこで、そもそもレンタカーをなぜ使うのかという根本的なところから考えた」。こう語るのは沖縄県文化観光スポーツ部観光振興課観光資源班長の大仲浩二氏だ。

沖縄県庁近くの「パレットくもじ」前の朝の様子。県内各地から発着する多くのバスが行き交う(筆者撮影)

そこで県は観光客の声を集めた。すると、那覇空港の案内所における観光客の問い合わせのおよそ8割は交通機関に関する内容ということがわかった。路線バス関係の問い合わせが最も多く、国内線ターミナルの案内所では全体の4割が路線バスに関する問い合わせだったというから驚きだ。なかでも「観光地へ行ける路線バスがないのか」という問い合わせや「バスの乗り方がわからない」という声が多かったという。

この声を受け、沖縄県では実際に路線バスの情報が調べられるのかGoogleマップで検索し、検証を行った。すると、モノレール(ゆいレール)と空港発着のわずかなバス系統の情報は検索できたが、ほとんどの路線バスの情報はGoogleマップで調べられないことがわかった。たとえば、有名観光地であるひめゆりの塔や斎場御嶽(せーふぁうたき)へは、実際は1日10往復以上あるバスでアクセスできる。しかし、Googleマップ上には路線バスが表示されず、バスでは行けない場所として扱われていたのである。

さらには座間味島をはじめとした離島航路も調べられなかったという。一方で、国内のほかの観光地では離島航路やバスがきちんと検索可能なところもあるとわかってきた。


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