ニュース本文


さらに、現行インプレッサでは歩行者保護エアバッグを標準装備している。これは、万が一に人身事故を起こした際に、歩行者の頭部を保護するエアバッグがボンネットフードとフロントウィンドウの間で展開し、頭部への重篤な被害を減らす安全装備である。乗っている自分たちだけでなく、相手の被害も軽減する安全装備がインプレッサに搭載され、それは最新のフォレスターにも適用されている。

安全装備に関する顧客満足が高いだけでなく、それによってクルマで外出する不安をも減らしてくれている。そういう国産車は極めて少ない。

SUVブームとは別に、インプレッサがベスト50でつねに半分以上の順位をなお保持しているのは、クルマを日々利用する人に信頼を得ているからだろう。

水平対向エンジンの課題とは

一方で、SUBARUに対する懸念も存在する。

SUBARUは、中島飛行機を祖とする自動車メーカーとして、航空機技術を基にした技術の高さや安全に対する精神の高さを支えとし、そこから水平対向エンジンや4輪駆動の技術と走りで顧客を魅了してきた歴史が永い。一方で今日に至り、その一部がSUBARUの足を引っ張りかねない懸念がある。

水平対向エンジンは、航空機の星型エンジンの一部を切り取り自動車用エンジンに仕立てたことが設計の基となっている。しかしながら、横幅の広い水平対向エンジンをフレームの間へ挟み込まねばならない構造上の問題から、エンジン寸法に制約が生じ、燃焼室を小さくして効率を高め、燃費をよくする設計にしづらい。いわゆるピストンのストローク(行程)を長くするロングストロークエンジンにしにくいのである。したがって、シリンダー径の大きなショートストロークエンジンになりがちで、それでは燃費がよくならない。

今日、たとえば同じ4ドアハッチバックのトヨタプリウスがカタログ燃費数値で40km/Lを超えるが、インプレッサは約16?18km/Lで、半分以下の性能だ。環境性能で劣るだけでなく、日本では年々ガソリンスタンドの件数が減っており、1994年のピーク時の半数にまでなっているため、ガソリン補給に遠回りをしなければならないかもしれず、利便性にも劣ることになる。

もちろんSUBARUも状況を座視しているわけではなく、水平対向エンジンの改良を続けているが、もはやハイブリッド車には太刀打ちできない。それにもかかわらず、SUBARUは水平対向エンジンの独自性を手放せず、電動化への動きは非常に鈍い。

かつて、水平対向エンジン特有の排気音を愛好するスバリストと呼ばれる人たちにSUBARUは支えられてきたが、もはやその独特な排気音もほとんど意識されない水準になっていることはすでに記事にしている。そうでないと、燃費も排ガス浄化も進まないからだ。


1 2 3 4


記事一覧 に戻る 最新ニュース読み比べ に戻る