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歯を食いしばって耐えた4年間は「本当に無駄」だった(写真:中野一気)

よく「苦労は買ってでもしろ」という人がいる。彼らはどんな経験でも、人生の肥やしになるという。

だがヒロシさんはそうは思わない。

「ホストクラブで働いてた4年間は本当に無駄でした。大学時代も無駄だったと思うけど、それ以上でした。僕は『苦労は金をもらってもするな』と思います。

僕はもう32歳になっていて、同期はテレビに出ていました。ホスト時代に無駄な時間を過ごしたという実感があったので、その反動でものすごく頑張りました」

ホストクラブに入るまでは「いつか売れるだろう」とのんきに構えていたが、ホストクラブを辞めてからの1年は売れることしか考えなかった。そして実際に思いつくことはすべて行動に移した。

大ブレークと、その後やってきた苦悩

そして試行錯誤の結果、大ブレークした

「ヒロシです……」

のネタは生まれた。

「売れていく段階はうれしかったですよ。お金が入ってくるのもうれしかったです。最高で月4000万円稼いだこともありました。

ただ売れてしまってから……バラエティー番組に呼ばれるようになってからつらくなりました」

バラエティー番組に呼ばれて、出演しているときは、苦手だった小学校時代の親戚の集まりを思い出した。

「よく知らないいとこの集まりで面白いこと言えないじゃないですか。それと同じです。当時は人気もあったのでカンペで『ヒロシに振って!!』と司会の方に指示が出るわけです。それで振られても、なんも面白いこと言えないんだけどな……って。考えすぎてつらくなる毎日でした」

テレビに出ている間はずっとつらかった。

最終的には飛び降り自殺を考えるまで追い込まれた。もう自分がもたないと思い、当時所属していた事務所に、

「テレビに出なくていいですか??このままだとおかしくなります」

と伝えた。

「それから束の間は極楽でしたね。貯めていたお金はあるし、ヒマはあるという。釣りにハマってました。キャンプもやってました。気分的には早めの老後を迎えたという感じでした」

田舎暮らしをしたいと思い、千葉に物件を見に行ったこともあった。

「人を避けたいというのがありましたね。シンプルな生活がしたい。自分で畑を耕して、実ったものを食べて生きていきたい。そんな感じでした」

だが、実際に物件を見に行くと、青年団に入らなければいけない、ご近所の飲み会に呼ばれる、など東京以上に面倒くさいのではないかと思った。


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