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JR高山本線の飛騨古川駅。長編アニメ映画『君の名は。』の風景そのものだ(写真:飛騨市)

岐阜県の北の端にある飛騨市古川町。白壁土蔵と鯉の泳ぐ瀬戸川の町として知られる。昔からの静かな町並みで、年配者たちが訪れて散策するといった、通好みの観光地だった。

これが劇的に変わったのが、2016年8月に公開された長編アニメ映画『君の名は。』(新海誠監督)の爆発的なヒットからである。映画の主要な舞台は、糸守町。架空の土地だが、そのモデルとなったのが古川町にほかならない。

高山本線・飛騨古川駅の線路、駅前のタクシー乗り場、図書館、大きな鳥居と参道・神社、神社から眺める平野と町並み、バス停。そのただずまいのすべてが、『君の名は。』で描かれている風景そのものである。

古川町は突然、『君の名は。』の公開とともにその聖地となった。

若い女性が押しかけてきた

映画の封切り当初、古川町では「町の風景がアニメになったらしいよ」程度の話しか交わされていなかった。飛騨地方には映画館がないこともあり、それが何を意味するのか、あまり見当がつかなかったようである。

しかし、古川町を取り巻く環境は大きく変わることになった。若い女性がどんどん古川町を訪れるようになった。『君の名は。』の聖地巡礼ブームが始まったわけである。

飛騨市商工観光部の北村和弘観光課長は、「観光客がガーンと増えた。観光客数のデータが上昇した。特に若い女性が動いた。古川町は何も変わっていない。土産物屋も増えていない。しかし、聖地巡礼ブームの経済効果は大きかった」と巡礼ブームを振り返る。


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