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その翌日、ジョン・ボルトン国家安全保障担当補佐官が急に自らの見解を変えた。同氏はそれまで非核化に関する事前の明確な合意がないまま2度目の首脳会談を開くことに賛成していなかったが、「北朝鮮はこれまでのところ、約束を守っていない。だから大統領は、次の首脳会談がおそらく成果を生むと考えているのだろうか」との見方を示した。

この発言の奇妙な論理は、北朝鮮側が約束を実行してこなかったのになぜ首脳会談を開くのかと、多くの観測筋を混乱させた。突き詰めていくと、同氏は自らがこの決定に関与していない一方で、トランプ氏にはトランプ氏なりの考えがある、と告白したと推測できる。

カギを握る、アンドリュー・キム

これと同じ頃、中央情報局(CIA)の朝鮮ミッションセンター所長のアンドリュー・キム氏は、板門店で北朝鮮高官と半ば公然の会談を行っていた。キム氏によるこうした出張は、この数週間で2度目である。

同氏は、いまだに彼の直属の上司であるポンペオ氏とともに、北朝鮮政府とのやり取りにおける最も重要なルートだ。今年の初め、韓国での冬季オリンピックで北朝鮮の出場枠が作られるよりも前からそうだった。

トランプ大統領が、2度目の首脳会談の候補日について話した背景には、そうした問題を、キム氏が北朝鮮の同等の立場の担当者たちと協議していて、それをポンペオ氏が大統領に伝えているからだ。

北朝鮮政策におけるこうした一見した混乱を、どのように理解すべきだろうか。6カ国交渉へ参加するなど北朝鮮交渉に詳しい元国務省高官のデビッド・ストラウブ氏はこう話す。

「北朝鮮問題に関して、いくつかの層からなる、多かれ少なかれ自立した複数の政府機関が動いている。まずトランプ大統領自身。公式には大統領の政策を支持しているが、陰では明らかに自分の政策構想を実現するために尽力しているボルトン氏がいる」


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