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FF11はスクウェア・エニックス初の本格的なオンラインゲームだ。2002年にサービスが開始され、過去にはプレイステーション2やXbox 360でもプレイできたが、現在はパソコンのみとなっている。

夫はネトゲ廃人だった

最初は、由美さんも興味本位で一緒にゲームをやっていたこともある。

「普通はカップルでゲームを一緒にやる場合は、レベルの高い人が低い人に合わせてやるんです。でも、元夫は異様なスパルタ教育だったんですよ。百戦錬磨の元夫に合わせて、テクニカルな動きをしなきゃいけないんです。

ABCの順番にコマンドを入力して、タイミングが合うと大技が出るんですが、それを失敗すると夫に『お前何やったんだ!?なんでこんなこともできないんだ!』とめちゃめちゃ怒られるんです。すいません……と謝りどおしで、ゲームをやるのがだんだんつらくなってきました」

ゲームは移動が多く、街から街へ移動しなければならない。サクサクサクという移動の足音だけが部屋中に夜通し響いていた。良一さんは仮眠を取りながら夜通しゲームを続けていたが、その足音を聞いているだけで由美さんは睡魔に襲われてしまう。一緒にやるのは無理だと諦めた。

休日は、朝から晩までパソコンの前からほとんど動こうとはしなかった。誰よりも早く起き出し、リビングにあるパソコンの電源に手を伸ばし、あぐらをかいて、定位置を陣取った。

「朝起きると、まずは私が夫にコーヒーを配膳しなきゃいけないんです。そして、『今日はどこにいくの?』と聞くんです。普通は外出の話だと思いますよね??ゲームの中の話なんです。ゲームの中で、今日はどこに行くのかを尋ねるんです。

そしたら、返事が返ってくる。だから、デートらしいデートは1回もありませんでした。ずっとゲームして、寝て起きて、ご飯食べて、仕事に行くと言う日常の繰り返し。私は何のためにここにいるんだろうと思うようになっていきましたね」

昼ごはんの時間がきても、良一さんはパソコンの前から動こうとはしない。レベルを上げるために、武器を買ったり、道具を買ったりしなくてはいけないので、ゲームの中でお金をためる必要があり、片時も目を離すことができないからだ。

「モンスターを狩ったり、買った武器をいくつか合わせて、合成を繰り返したりするとキャラが強くなる。ゲーム内の街の探索をしてボスの討伐に行って、仲間を作る。

その繰り返しなので、滞在時間が半端ないんですよ。当時は課金要素がまったくなかったので、ゲームをしまくっていないと、レアアイテムも取れないし、『つねにゲームの中にいる必要があるんだ』と力説されましたね。元夫にとって居住空間は、完全にゲームの中なんですよ」


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