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同棲を始めた頃に、ゲームの追加ディスクが発売されたこともあり、良一さんはますますゲームにのめり込んでいく。女性になりすますことで、レアアイテムを次々に貢がれると、パソコン画面に目を輝かせた。そんな良一さんに、由美さんは次第に絶望を深めていった。

子どもが産まれてもゲームへの熱は変わらず

妊娠が発覚したのは、同棲し始めて9カ月後だった。そのまま流れで結婚することになった。

子どもができたら、父親としての自覚も芽生えて、そんな生活も変わるのでは、と由美さんは期待していた。しかし、出産後、その淡い期待は打ち砕かれた。

「子どもが産まれても、驚くほどに興味を示してくれなかったんです。元夫は、子どもを珍しい動物みたいに扱ってました。子どもをつついたりして遊ぶという程度のことしかできないんですよ。

子どもが『パパ?!』と飛びついても、『今忙しいから!?今忙しいから!』と言ってゲームから目を離さないんです。そのうち、『パパは今ゲームしてるから、そっとしておいてあげて』と私も制するようになっていきました」

1日中パソコンの前に陣取ってうつろな目をしている良一さんに「ゲームやりすぎじゃない?」と何度も由美さんは訴えた。しかし、良一さんはその度に激怒し、「じゃあ、ほかに何をしろっていうんだ!」と怒鳴り散らした。

「元夫の言い分としては、『月に4000円くらいで、いくらでも時間が潰せるんだからいいじゃないか』『これ以上ないエンターテインメントなんだから、それを取り上げられたら、ほかでどれだけお金使うかわからないぞ』と。それもそうかなと、無理やり自分を納得させていました」

良一さんの年収は350万?400万円程度で、生活はギリギリだった。子どもがまだ小さいこともあり、由美さんはすぐに働くのは難しかったため、良一さんの趣味をしぶしぶ我慢することにした。

「でもせめて、ご飯を食べているときはゲームを止めてほしい。そして、休日は昼間に近所でいいから一緒に出かけたい」。そう由美さんが懇願すると、良一さんはしぶしぶそれを受け入れた。

しかし、1カ月も経つとその約束はあっけなく破られていく。

「ゲームの中の裏ボスを討伐するという大きなイベントがあるので、『俺もどうしても討伐に行きたい』って言うんです。『行かないと友達がいなくなってしまう』と涙目で訴えてくるんですよ。『だから外出は、無理だ』と。結局、休日も裏ボスの討伐のために家にいることが多くなり、外出することはめっきり少なくなってしまいました」


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