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政府内部も懸念

 企業が賃上げの副作用を克服するには、全体の人件費を削減するしかない。つまり従業員の削減だ。ただしこの場合、現場の仕事の負担は確実に増える。また、従業員削減に伴い失業者も出る。人員削減が無理なら、企業を待っているのは倒産や廃業だ。文政権発足前から韓国の最重要課題だった雇用問題は、一層深刻にならざるを得ない。まさに悪循環で、韓国ではそれが進行している。「経済をつぶす気か」といった政府批判は珍しくない。

 韓国政府内部でも賃上げの矛盾への懸念はある。金東●(=なべぶたに八の下に兄)(キム・ドンヨン)経済副首相兼企画財政相は報道陣に「最低賃金の2桁引き上げは下半期経済に負担になるおそれがある」と述べた。だが、こうした正論は受け入れられない。

 韓国政府は中小企業などの賃上げ対策として、税金を充てることや大企業による負担などを検討しているが、負担のつけ回しに過ぎない。景気が回復し人手不足の日本を横目に、韓国経済は当分、泥沼から抜け出せそうにないようだ。



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