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――今回、ドラマの舞台に学校を選ばれた理由は何でしょうか。

僕はドラマの脚本家なので、面白いドラマをつくるということが大前提なわけです。最初に主演が櫻井翔さんと決まっていて、監督にどんなドラマがいいか聞いたら、「若者の貧困」と返ってきました。

福田 靖(ふくだ やすし)/1962年、山口県徳山市(現・周南市)出身。劇団主宰を経て脚本家デビュー。2001年のテレビドラマ「HERO」で大ヒットを記録し、一躍話題に。その後も「海猿」シリーズや「ガリレオ」シリーズ、NHK大河ドラマ「龍馬伝」など人気作を手掛ける。口述筆記で脚本を創作する日本屈指のヒットメーカー(撮影:今井康一)

「なんだそれ」と思って、そんなことをドラマにできるのかと思いながら調べると、今の大学生がどれだけ大変な状況にいるかが見えてきました。仕送りは平均8万円で、僕が大学生だった35年前と大きく変わらないのに、僕らの頃よりずっと家賃相場は上がっている。今は5、6万の普通のマンションが当たり前、スマホ代もかかる。8万円でやりくりはできないから、当然バイトしなきゃいけない。僕らの頃のバイトは遊ぶためのバイトでしたけど、今の学生は生活のためとか授業料払うための人が多いと聞きました。

そのうえブラックバイトに引っかかったり、バイトのために試験を休んだりという本末転倒なことが起こっていると改めて知り、「あららら、大変だこれは」と思いました。

そういうことを高校の先生って教えているのかなと思い、「学園もの」がいいんじゃないかなと思ったのが始まりです。

20年以上、学園ものは避けてきた

――「学園もの」ではありますが、圧倒的に先生が中心のドラマで、生徒はそこまで出てきません。どうしていまの形になったのですか?

脚本家の仕事を20年以上やってきましたけど、学園ものは避けてきたんです。いじめであったり難しいテーマが多いし、そもそも学園ドラマの数が多い。だいたい破天荒な先生がやってきて、最初はみんな戸惑うけれど、だんだん……というパターン。

僕の娘は今高校2年生ですけど、ちょっとわかったふうに子どもたちのやりとりを書いたところで、「何言っちゃってんの」みたいな感じでばかにされそうなので(笑)。

でも、もう1回ぐらい書いてみようかなと思い、櫻井翔さんで学園ものとなれば、普通に考えれば先生だと。彼は35歳だから、順当にいけば先生になって10年以上経っている設定になる。でも、「将来起こりうる問題を高校で教えてないのではないか?」という問題意識を、長く先生をやっている人に語らせるのは無理だろうと思いました。それで、ビジネスの現場から優秀なやつをポンッと校長として連れてきて、学校経営を立て直す話にしました。


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