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――ドラマで出てくるせりふにリアリティがあると教育現場では話題になっています。どうやって現場の声を脚本に落とし込んでいるのでしょうか。

最初は、世の中の教育についてあまりよくわかっていなかった。だから30人の先生にインタビューし、3校の学校を訪問しました。すると、自分が経験した30年以上前の高校生活とはまったく違うことがわかりました。

取材先の先生から「アクティブラーニングって知ってますか」と聞かれても、「全然知りません」という状態。たまたま同級生が北海道で校長をやっていて、アクティブラーニングを取り入れているというので見に行ったんです。その授業はドラマの中でそのまま使わせていただきました(編集部注:第3話で瀬戸康史さん演じる島津先生が、英語の授業でアクティブラーニングを導入するシーン)。

僕の通っていた高校は進学校ではあったけど、今思うとつまんない授業だったな、よくみんな聴いていたな、と思うような授業でした(笑)。

学校と社会はつながっていない

――かなり探索的にドラマを制作されたのですね。いまの学校教育については、どのようなご意見をお持ちですか。

「HERO」「龍馬伝」といったオリジナル脚本だけでなく、「ガリレオ」や「海猿」シリーズなど、原作が人気の作品も手掛ける(撮影:今井康一)

いろんな先生から話を聞くうちに、なんとなく学校と社会って、ピシッと線がつながってないと感じるようになりました。学校と社会は「就活」という境目で、就活スーツに変わるように、まったく違う価値観にシフトすることを要求されている。

これから先、日本に幸せな未来が待っているとはとても思えないし、人口は減って国力は下がっていきます。そうした事態を避けるためには、ロボットなり移民なりを受け入れていかなきゃいけない現実が将来待っています。

それについて何の危機感も伝えずに、「とりあえず大学入れ」とか「就職なんとかいいところに入れ」とかって言うだけでは、「なんで(現実を)教えてくれなかったんだ」って後から言われるんじゃないかっていう思いが、実感として沸き起こってきました。そのときに、民間企業から来た人間が生徒にリアルな社会の仕組みとかを教えられるっていうことがこのドラマでできるかもしれないと思いました 。

たとえば、ドラマでは奨学金についても取り上げています。奨学金が借金だという認識を高校生は持っているのだろうか、と思ったからです。なんの返済能力もない学生に600万貸すということは普通ありえないのに貸すんですから。

あの回の放送後、「絶対ありえない、(奨学金について)全部説明は受けた」っていう意見もあったし、「まさしく私は説明受けなくて、今大変です」っていう人もいました。いろいろあるんですが、リアルを伝えようと。


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