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光武:そうはいっても僕たちには能力の偏りがある。そのため、失敗しやすいし、それはどうしようもない特性です。だから、僕が唯一やることは、相手が失敗したときに、そのことを一切責めないことです。そして、ミスが起こったなら、そのミスに対してどう改善すればいいかを一緒に考えるようにしています。

たとえば、発達障害バーで何か問題が起こったときも、怒ることはまずないです。「ここはミスが起こりやすいところだから、それに関してはぜひみんなでフォローし合えると、全体として作業効率がスムーズになると思います」という言い方をします。

「並」ではない自分たち

――自分の特性に合った仕事を見つけるためにはどうしたらいいと思いますか?

吉田:僕は自分と波長が合う人が何の仕事をしているかと考えて、ITにしました。大学時代に入っていた部活のOBに商社、メガバンク、IT企業に勤めている人がいたのですが、とりあえず「商社は無理だわ、この人たちについていけない、定型発達の集まりだわ」と思いました。今思うと、彼らと空気が合わない。それで、IT系の人は一緒にいて楽だなと思い、受けたら受かったので、「じゃあお願いします」みたいな。

山村:自分は就活していたとき、自分が売りにしていたことと、仕事をしていて「山村さんこれできるんだね、お願いします」と言われることが全然違ったんです。学生時代はこういう能力に長けていると思っていた部分が、社会では全く役に立たなくて。逆に、自分の中でそんなに売りにしていなかったはずのことが、社会に出たら通常なら鍛えないと身に付かないものだったりしました。そういうことは経験しないとわからないことです。経験してみることって大事だなと思いました。

――今までの当事者インタビューでも聞いてきた質問なのですが、発達障害はもっと社会が受け皿を作るべきでしょうか??それとも強過ぎる個性という捉え方ですか?

定型発達の人は並なんです(筆者撮影)

山村:自分は両方の考えがありますね。社会が受け入れるべきというのはそれもそれで一つの手だと思います。前編の話に戻っちゃいますけど、発達障害だからマイノリティとはじき出したのは社会なんです。はじき出しておいたんだったら受け皿を作るのもそっちなんじゃないかなと。一種の攻撃的な見方ですね。

一方、強すぎる個性となると、自分は普通じゃないことに今まですごく悩んでいたんですね。でもふと思ったんです。普通って「並」じゃないですか。自分たちが普通と思っている言葉も、ごくありふれた、特に際立った特質がない様を指します。

吉田:要は凡人ですね。

山村:ちょっと言い方は悪いかもしれませんが、定型発達の人は並なんです。

吉田:俺らは「特盛りだぞ」と(笑)。


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