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【正論11月号】Jアラート批判、北朝鮮報道…どこかヘンだよ、日本人の平和主義 タレント フィフィ
【正論11月号】Jアラート批判、北朝鮮報道…どこかヘンだよ、日本人の平和主義 タレント フィフィ
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※この記事は、月刊「正論11月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。

 朝鮮半島の緊張が高まっています。「やばい」と感じている人は結構多いんじゃないですか。恐怖を感じている人も大勢いると思います。ミサイルを撃った後、間髪入れずに核実験を行って、その水爆の規模が広島に投下された原爆の10倍の規模とも報じられました。その後も次々展開する北朝鮮の動きをめぐる報道を見て、「この先、どうなっちゃうのだろう」「次は何が起こるのだろう」と先行きに不気味な不安を抱く人は多いはずです。というかそのくらいの危機感は誰でも普通感じますよね。

 私自身は全国瞬時警報システム(Jアラート)が鳴った8月29日午前6時すぎ、寝ていました。北朝鮮が発射したミサイルは日本の上空を通過して、襟裳岬の東の沖に落ちました。Jアラートが鳴ったのは落下の恐れやミサイルの向けられた方向にある12道県のみで東京都では鳴りませんでした。ただ、テレビを付けると、何度も取り上げられましたから。それで知りました。

政府批判のオンパレード

 Jアラートに対する反応見ていると、「これってヘンだな」と腑に落ちないものが沢山ありました。私は以前正論で「保育園落ちた。日本死ね」に代表される、何から何まで政権批判に結びつけたがる風潮に疑問を示したことがありますが、今回の事態もとってもヘンでした。

 まず堀江貴文氏ことホリエモンが公式ツイッターで「マジでこんなんで起こすなクソ。こんなんで一々出すシステムを入れるクソ政府」と書かれました。ほかの人たちも「Jアラートうるさい」「意味がない」と書いた人がいました。どれも政府批判ばかりです。ひどいのでは「危機感をあおっている」というのもありました。

 エジプトやアラブ世界の感覚で見ていると、日本に住んでいる感覚とはちょっと違う思いを味わう機会があります。常に危険と背中合わせだと実感しながら過ごすからかもしれません。戦争や紛争への日常感覚があまりに違い過ぎる。戦争、もしくは、攻撃されることが、日常生活と懸け離れた、遠く離れた出来事では決してないという感覚がどこかにあって、それを心の片隅に置いて暮らしているわけです。今の日本の状況はどう見てもシリアスな段階に入ったと思います。むしろ私自身は、日本政府はこんなにやばい状況になっても「もしかしたら何もしないんじゃないか」と思っていたくらいでしたから、Jアラートに逆に驚いたんです。

 それは「危ない事態をちゃんと知らせるんだ」というものでした。私自身、米朝の駆け引きをとても冷めた目で見ていた時期がありましたので、こういう危機感はもっと早く持っておくべきだったかもしれない、そうすればいろいろなことがもっとやれたし、やっておけば良かったとは思いました。政府からようやく大変なことになっている、なるかもしれない、と国民に初めて知らされてそう考えたわけです。

 ツイッターでこの手の発言をしている人達って、そういう危ない局面をこの期に及んでも直視していませんよね。もし仮にミサイルが国土に墜ちて、具体的な被害が出たら掌を返して「政府は何もしなかったじゃないか」「政府は何をしているんだ」と言い出すに決まっています。悪いのはまず北朝鮮であるはずなのに、そこはほぼ素通りに近い。そして何でもありで政府批判を繰り返すのです。



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