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日本は戦後、長期にわたって人口が大きく増加してきました。そのため、供給を増やしても、ほぼ内需で吸収することが可能でした。しかし、人口が減ると、内需だけでは供給過剰になります。

「供給が多すぎるから減らそう」というのは、中国のような国であれば可能かもしれませんが、資本主義国家である日本ではそう簡単にはいきません。また、供給を減らすため、まだ使える設備や人材を手放すのも、もったいない話です。さらに、それをやるとGDPが減るので、社会保障と国の借金問題が悪化し、国家が破綻してしまいます。

ならば、どうするか。日本で起きている供給過剰の対策として、非常に有効なのが「輸出の拡大」です。日本の消費者が消費しきれなくなった分を、海外に持って行けば、内需の減少で生じるデフレ圧力を緩和することができます。

人口の増加から減少へと極めて大きなパラダイムシフトが起きている以上、日本は今の「輸出小国」から、「輸出大国」にシフトすることが求められているのです(日本が「輸出小国」であることは、後ほど説明します)。

生産性を高めて「輸出」を増やした観光産業

内需頼みから輸出への転換、実はこの戦略を実行し、すでに大きな成果を挙げている産業が日本にもあります。観光産業です。観光を輸出というと違和感を覚えるかもしれませんが、日本人以外に外貨を使ってもらうという意味では、観光産業は立派な輸出産業です。

日本人観光客の減少を外国人観光客によって補填し、息を吹き返した地方の観光地の例は枚挙にいとまがありません。

今後の日本の人口減少は世界でも類のない規模で、国内需要の減少も莫大なものになります。それらすべてを輸出で補うのは現実的ではありませんが、日本人消費者が求めなくなる物とサービスの相当な割合を、海外への輸出に回すのは不可能ではないでしょう。

とくに、現段階では日本は輸出小国なので、まだまだ輸出を増やす余地がたっぷりと残されています。このことは、日本にとって大きなチャンスだと捉えるべきです。


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